2019年5月18日NHKラジオ、 石丸謙二郎の山カフェの中で
【山で熊と出会ったら?対策法】について放送されました。
教えてくれたのは、日本ツキノワグマ研究所
理事長の米田一彦(まいたかずひこ)さんです。
米田一彦さんはこれまでにツキノワグマと出会うこと48年間に約3000回、
信じられない数字ですね。
私たちはクマに会ったらどうするか参考になりますよ。
●米田さんがクマの調査のきっかけは?
昭和の頃、クマは人間にとって悪い動物というので乱暴な扱いを
受けていたので助けたいと思ってからです。
山で熊と出会った時の対策方法
●クマと30m~50mの距離では?
だいたいクマは無視して通り過ぎます。
この距離で襲われる事はめったにありません。
100m程追われた事がありますがまずありません。
こういう状況では静かにソ~ト気付かれないように立ち尽くすのが一番。
クマからすると人間を手、足、頭、胴を認識します。
真っすぐ立っていると木だと思って人間とは気が付かないそうです。
(米田さんは動かないのが一番良い。そうして助かってきました。っと)
●クマと10mぐらいの距離では?
クマもかなり気が付いているが、クマ自身は強くて王者だと思っています。
ですから、あまり辺りを気にしませんので気が付かずにいる事があります。
ほとんどのクマは人間を無視すると思います。
まっすぐ前を見たまま下がるのはとても良いけど、
後ろを見ないで下がると難しいですから転びますね。
(後ろを向いた時点で弱い動物だと思って攻撃してきます。
ですから立ち尽くして木に見せかけるのが良い方法です。)
※してはいけない事
クマの気を引くような動作
・走る
・特に斜めに逃げるのは一番ダメです。
・後ろを見ること。
・逃げたり、逃げようとしてクマに背を向けること。
私自身クマを踏みそうになったことが数回あります。
約2m先にクマが熟睡していて、そこに私の足でクマの方が2mも飛び上がって逃げ出しました。
冬の時期にクマの穴に落ちたことがある。鼻の先にクマがぐっすり寝ていて、静かに脱出しました。
●クマと3m以内の距離では?
かなり難しいですが慌てて逃げない事です。
私は近距離でも、ぜったいに逃げません。反撃しません。
これは究極最悪の場合ですが
日本のクマ研究者、北米とかでは、首を守りながらうつ伏せに丸くなってうずくまる事を勧めています。
♥ただし登山者なんかは、その前段階で人間を大きく見せると言う事は良い方法です。
ピッケルやリュックを振り回すと、クマは自分より恐ろしいクマに見えて逃げていきます。
農家の人はカマとかクワがあれば振って大きなクマに見せかけます。
あくまで攻撃するのではなくて、人間を大きく見せる事が大事です。
風呂敷みたいなものでも良いし、傘をパッと広げると大きく見せられる。
実際に傘でクマが崖から落ちたこともあるそうです。
♥大きな声を出すというのはどうですか?
襲われたら出したほうがいい。
皆さんすごい言葉で叫んでいますよ
「ばかやろう!」「このやろう!」とか、大声で叫びます。
♥人が声を出すとクマは逃げますか?
若いクマには効果がある事があります。
(何も持ち物がなければ仕方ありませんので、、)
♥いろんな状況にもよりますが、
確実に助かるという方法はない、ということですか?
そうですね、それはよく知るべきです。
♥死んだふりはしたほうが良いの?
つまり首を守って伏せると顔は傷がつきにくいです。
背中をひっかかれても大きな、けがにはなりにくいです。
●走って逃げたほうが良いのか
走ると危ないです。
特に左右の動きはよく見えますからね。
♥静かに背を見せないで下がるというのは、
非常に有効だろうと思います。
基本的には、立木のようになった方が良いです。
万が一爪で横に殴られても木に当たりますから、人のケガも少なくなりやすいです。
●仮に6、7m先でクマに出会った時は、
確実に来そうなら防いだ方が良いです。
最初から首を守るようにしてうずくまった方が良いですね。
●クマは二足で立ちますが何をしているんですか。
平坦地にいれば遠くを見ています。
しかし山の中で立ち上がる時は、腕で横向きに攻撃する時で非常に危険状態です。
●熊スプレーは効果あるの?
効果はあるそうです。(外国製です)
中には唐辛子が入っていて、かかると黄色の色が付くそうです。
クマは逃げて行くそうです。
♥クマに鈴は効果あるの?
2種類あって
・教会の釣り鐘タイプ (おすすめ)
チ~ンチ~ンと鳴って300mぐらい遠くまで届く。
・神社型タイプ
ガラガラと鳴って100mぐらいまで届く。
・小学生が集団登下校で鈴を鳴らすのは非常にいいです。
その他番組の中で大事で興味のある事を話されましたよ。
●世界には8種類のクマがいます。
日本には2種類のクマがいます。
・ツキノワグマ(本州と四国)本州に45%のクマがいます。
(2000~2003年調査)
・ヒグマ (北海道)
●ツキノワグマ特徴
・全身黒色ですが胸のところが、大きな半月状の白い模様があります。
・大人のツキノワグマは
オスが身長 約140cm 体重約80kg
メスは オスより少し小さいです。
・泳ぐのも得意です。
・爪が鋭くて木登り、穴を掘るのも上手です。
・走るのも早くて時速40km以上です。
(山中で追いかけられたら人間はとても逃げるのは不可能です。
100mを8秒~9秒ぐらいで走りますから、オリンピックなら優勝ですね。)
・奥歯は植物をすりつぶして食べるのに便利です。
・犬歯は肉を食べるのに便利です。
・繁殖期は6月で冬の1月下旬に2頭ぐらい出産します。
この為に5月6月は人間の目撃が増えます。
・黒い服装で山に入るとクマと間違えられて、人に銃で撃たれるが事があるので、
ハデな服が良いとの事です。
そういえばチェック柄の服が多いですね。
・初夏では植林の木とか皮を剥いで甘皮を食べる。
・登山では木の標識があって防腐剤が塗ってありますが、
その防腐剤がとても大好きで舐めたりするので、傷跡が付いたりします。
・ツキノワグマは日本に約1万頭いるが、この数字は素晴らしいと言いいいます。
・集落、里山に降りて来て事故が起きるのは、環境が変わってきたからです。
昭和の後期は里山が荒廃したためと言われています。
今では里山に木が茂っていて、
奥山みたいな状況で若いクマが定住するようになってきた。
ドングリなどが不作になってくると里山に出てくるようになってきた。
・クマはドングリ等、豊作の時は出産して、不作の時は出産しないそうです。
・クマに発信機を取り付け後、追跡して穴を覗きに行くと、
メスは出産する時は人間を襲わない、
しかし出産しない時は襲う。
子クマがいる時はメスのクマは、人間が近づいても子クマを守るので襲わない。
しかしオスのクマは必ず襲ってきます。
・クマは寿命は動物園では33年ぐらい生きる。
・クマと人間は今後どうやって付き合っていくのか?
クマの生息域、人間の境を、地帯をきちんと作って行く事。
造林、里山も手入れをしていくこと。
河川敷の草を刈ったり、きちんと管理することが大事ということでした。
里山の柿の木を切ったりして対策してきたが、クマを残していきたいと言っていました。
さいごに
最近は住宅地までクマが出て来てニュースで見ますが、
走って背を向けて逃げるか、
立って木に見せかけるか、
傘などあれば振って大きく見せるか、
首を守るようにしてうずくまるか、
普段から熊スプレーを持ち歩くか、
状況をみて判断する事になりそうです。
最後まで読んで頂いて有難うございます。